微分方程式メモ (2)
予告した通り今回は解の一意性について書く。まだ1日も経っていないがしばらく数式を打ち込んでいられる余裕も無さそうだから早めに投稿した。あくまでもメモであって、人に見せることは考えずに書いているので注意。
逐次近似法によりを満足するの解を得た。しかし、の解の一意性についてまだ確かめていない。同じ初期条件を満たす別の解がある可能性が残っているのだ。
前回のメモで設定した以下の2つの条件の下、一意性を証明する。
条件1:函数は実数値で、、 で定義される平面の領域で連続である。
条件2:はでに関してリプシッツ条件を満たす。つまり、正定数が存在しの任意の点の組、に対し
が成り立つ。
[証明]
を、を満たすの解とする。
条件2より、
ここでとおくと、で
この不等式での右辺のを評価すると、
さて、であるとすれば
よって任意のに対しが成立。
右辺はの選び方に依らないのでが言える。しかしはを大きくしていくとより真に小さくなり、でなければこの不等式は成り立たない。
よりであるから、解は一意的である。証明終。
逐次近似法の手順を説明するため、ひとつ例を見てみよう。
初期条件の下で、を解く。前回のメモと同じようにして函数列を定義する:
…
以上からと予想できる。の時は成立している。
と仮定すると、
従って、先程の予想は正しい。
微分方程式の解は、
こうしてが導かれた。
次回は次近似解の誤差評価について書く予定。