微分方程式メモ (1)
微分方程式についてのメモ。参考文献は Lectures on differential and integral equations (Kosaku Yoshida) である。TeXコマンドはよくわからないので見づらいのは許して欲しい。
さて、1階常微分方程式はふつうの形で書かれる。以下、これがについて解くことができ、 の形で書かれる場合について考える。というのが最も単純な場合であるが、この解は が連続な変域において
で与えられる。積分定数はにおけるの値により定まる。すなわちである。つまり、を満たすの解は
で与えられる。条件は初期条件と呼ばれる。
を満たす微分方程式の一般解を見つけたいのであるが、この問題を形式化するため、に関して2つの条件を設定する。
条件1:函数は実数値で、、 で定義される平面の領域で連続である。
条件2:はでに関してリプシッツ条件を満たす。つまり、正定数が存在しの任意の点の組、に対し
が成り立つ。
ここで、がにおいて連続な偏導関数を持つ時、が条件2を満たすことを見てみよう。
は連続で、が有界閉集合であることよりは有界。よって、とおける。ここで、を固定し、とすると、である。 に対し平均値の定理より、あるが存在し、
が成立。従って、
両辺に絶対値を付けて
より、
故に、が導かれる。は任意であるから、はリプシッツ条件を満たす。これで条件2の重要性がわかったかと思われる。
条件1より、は有界閉領域上で連続であるから、は上有界である。よって、とおける。とすると、区間上で函数列を以下のように定義することができる:
…
定理:は区間において一様収束し、その極限は初期条件を満たすの解である。
[証明]
とより、で、に対し
また、の定義よりがわかる。
従って、に対しが成立。
ここで、リプシッツ条件を用いる。
左辺の絶対値は外せる。
両辺について積分すると、
両辺絶対値を付けて、
この不等式を認めれば、で
が導かれる。の時は明らかであるから、で上の不等式が成り立つと仮定すると、でも
が成り立つ。よって数学的帰納法より任意のについてこれが成り立つ。細かい証明はダルいので演習問題とする。
この時、で
が得られる。
の右辺をとすると、は区間で函数に一様収束することがわかる。一様収束することから、は連続かつ初期条件を満たす。
がの解であることを示すために、この命題を用いる。
命題:函数列が一様収束し、が区間で連続ならば、以下が成立。
これもダルいので証明しない。
これを認めれば、はに一致する:
被積分函数は連続なので、は微分可能である。
よって、導函数は
となり、がの解であることがわかる。証明終。
これ以上やるとページがクソ重くなりそうなので一旦終了。次回は解の一意性について書く。