ひとなぐりこけし

完全な球体と屋根の上に降り積もる女の子のやわらかい死体

藤原基央の呪い

 この記事はサークルクラッシュ同好会アドベントカレンダー2018の24日目の記事です。

  今年も昨年と同じくサークルクラッシュ同好会を批判する記事でも書こうかと思っていたのですが、書いているうちに面倒になったのでやめます。言いたいことの半分はもう昨年書いたので、また改めて他の機会にでも。

 代わりに今日は、もう5年も(特にここ半年はひどく)僕を苦しめている「呪い」について書いてみます。その「呪い」とは、「藤原基央の呪い」です。

 

 僕とよく会う人は知っていると思いますが、僕は髪がかなり長いです。一時的に短くしても、そのあと必ず長期間伸ばします。これは就職活動のあいだも例外ではありませんでした。修士1回生の終わり頃に髪を短くしましたが、自分のその姿に耐えることができず、初めての面接には翌年度の夏に髪が伸びてから行きました*1。どちらにしろ僕のようなナードは就活ヘアにする必要のない技術職に就くしかないので、それで困ることはありませんでしたが。

 髪を伸ばし始めたのは高校生の頃からです。中学時代も周囲より比較的前髪が長かったのですが、今のように伸ばしっぱなしにしてはいませんでした。高校の卒業アルバムでは目がほとんど隠れています。後ろ髪は肩まで達しています。髪を伸ばし始めたのは、目を隠したかったから、そして、バンドに参加したからです。最初は決して「BUMP OF CHICKENのファンだったから」という理由ではありませんでした。前者は藤原基央と同じ動機ですね。彼は父親に目つきの悪さを指摘されたことが前髪を伸ばすきっかけとなりましたが、僕は幼少期にメバチコで片目だけ奥二重になった(もともと一重です)のが嫌で隠すようになりました。どういう状態かわからない人は「的場浩司」で画像検索してください。最近はアイテープを片目にだけ貼ることで以前ほどは気にしないようにできています。後者は「参加」といっても高校の文化祭*2と卒業ライブでサポートに入ったくらいでした。軽音部に所属していなかったのは“隠キャ”だったからです。

 BUMPを知ったのは幼馴染から教えてもらったのがきっかけでした。彼は小学校と中学校が同じで、高校進学後も交流が続いた唯一の友人です。20代のはじめ頃に一緒にバンドを組んだり、僕が修士1回生の頃は同じ本屋で働いていたりもしました。彼はあるとき、USBメモリにBUMPのアルバムと一部シングルを入れて渡してくれました。だから僕のウォークマンには「藤原基央の呪い」がかかる前からBUMPの曲の多くが記録されていました。それにもかかわらず、僕は今ほど偏執的にBUMPを聴いてはいませんでした。当時の僕の中では楽曲がいくつかのフラッシュ作品に使用されているというイメージが主でした。

 それは大学1年目の冬、すなわちおよそ5年前ですが、サークルの先輩の家で鍋を囲んでいたときのことです。髪の長い僕を見て、BUMPファンのある先輩*3が「お前、藤くんっぽいな」と言ってきたのです。もちろん、僕は藤原基央のような“整った”顔ではありませんし、身長も彼よりずっと低く、似ても似つかないのですが、髪が長いという一点だけは類似しています。そのときはあまり気にしませんでしたが、時間が経つにつれてその言葉が頭の中で何度も何度も反復するようになりました。どうしても気になるのです。鏡で自分の髪型を確認するたびに「藤原基央」という文字列が視界にチラつくようになりました。意図して真似しているわけではないのに。藤原基央のあまり着なさそうな服を着てみたりして遠ざけようとしてみたこともありましたが、意識すればするほど僕の中で藤原基央の存在は大きくなっていきました。あまりにも気になりすぎて、僕はBUMPの曲を以前より頻繁に聴くようになりました。ちゃんと歌詞を“聞く”ようになりました。よく知られている通り、藤原基央の書く詞は僕たちのようなナードの心に強く刺さるように構成されています。多くのナードたちと同じように、僕は藤原基央の書く詞に心を奪われていました。だんだんと「藤原基央みたいになりたい」という気持ちまで抱くようになりました。元々似ていた髪型も、無意識のうちにより似せようとしてしまうことがたまに起きるようになりました。「呪い」はゆっくりと、しかし確実に強くなっていきました。少なくとも、学部生のあいだはそこまで強い「呪い」ではなかったと記憶しています。

 

 半年ほど前の京都はひどい大雨が何度も降りました。僕は何年も使って所々へこんでしまった古いウォークマンを鞄のポケットに入れていたのですが、彼はとうとう雨で動かなくなってしまいました。当時使っていたパソコン(今この記事を書くのに使っているMacBook Proの前に使っていたWindowsマシンです)は大学入学時に購入したものですが、ウォークマンにBUMPを入れたのは高校時代です。なのでこのパソコンにはBUMP楽曲のデータが(大学入学以降に発売されたものと自分で買ったシングル数枚しか)ありませんでした。それだけのことで最近は数ヶ月に一回しか会っていない幼馴染を呼び出すのは申し訳なかったので、数週間はBUMPを聴かずに過ごしました。

 いつもあったものが急になくなると、当たり前にあったときよりも強く意識してしまうものです。数週間で耐えられなくなり、新しいウォークマンを父に頼んで買ってもらい、この機会に以前は持っていなかったシングルも含めて全部買おうと一斉に注文しました。ライブDVDも買いました。長く聴いていなかった反動でしょう。僕は以前よりも強い「呪い」に悩まされることになりました。その日着ていく服を決めるときには無意識のうちに「藤原基央」で画像検索してしまうようになりました。服を買いに行くと「藤原基央」の検索結果を見ながら選ぶようになりました。首を長くするために猫背矯正ベルトを装着し、O脚を治すために歩き方を見直しました。就寝時に着圧タイツなんてものも履いています。僕はエラが張っていて顔が大きいので、こんなデカい顔では藤原基央のコスプレなんてできないぞ、とマウスピースを買って睡眠時に強く歯を噛みしめる癖を治そうとしてみたりもしました。「歯ぎしりの音が聞こえてこなくなった」と家族からは好評です。今度は親知らずを抜いてみようと思います。少しくらいはエラが引っ込むかもしれない。どうやら前歯が(おそらく親知らずのせいで)少しずつ動いているようなので、ちゃんと抜く理由もあります。僕は痩せているほうなのですが、顎の下の皮が余っています。僕が鼻炎でついつい口呼吸をしてしまうせいで弛んでいるという可能性があるので、年始に鼻のレーザー治療を受けることにしました。鼻息ができなくて起きてしまうということが頻繁にあるので、ついでにそれも解決することができます。どんどん健康になってしまいますね。

 全部べつにしなくともよいことなのですが、「藤原基央の呪い」が僕のコスプレのクオリティを上げるためにそうさせるのです。整形はリスクがあって怖いですしお金もかかるのでやる気はありません(もともとのコンプレックスだった目についてはいつか左右対称にしてもらうかもしれません)が、他にできることはどんどんやっていこうと思います。いつまでどこまでなんてわかりませんが、少なくとも「呪い」が解けるまではできるだけ。そもそもこの「呪い」は解けるのでしょうか。もしもできるのならば、誰か助けてください。

 

f:id:fukuso_sutaro:20181224023827g:plain

これはだいぶ誤魔化した自撮りです。

 

 

 明日はラスト、ホリィ・セン(@holysen)です。

*1:結局2社だけ受けて、2番目に受けた会社へ就職することにしました。博士号は何らかの形で取得しようと思っています。一旦工学か文学で修士課程をやり直すか、理学で博士課程に行くかまだ迷っています。

*2:@walk_to_work 君と一緒にギターを弾いていました。

*3:K坂ひえきという男です。