微分方程式メモ (4)
今回のテーマは積分定数だったが理解があまりにも不足しているので冪級数展開による解について書く。
が複素変数、についての複素数値函数である場合の微分方程式について考えよう。は以下の条件に従うとする。
条件1':函数は、で与えられる複素平面の領域においてとで収束冪級数に展開できる。つまり、はで正則である。
この条件から、内でもまた正則であることがわかる。複素閉領域を、 で定めると、はで連続であるから、もで連続である。同様にもで連続。有界閉集合上で連続なので、正数とが存在して
を満たす。
をとを繋ぐ線分に沿って積分することで以下の等式を得る。
両辺に絶対値を付けて、
従って、は上でリプシッツ条件を満たす。
ゆえに、実数値函数の時と同じように、とすると条件1'のもとで微分方程式に逐次近似法を適用することが出来る。
でとを繋ぐ滑らかな曲線に沿って複素積分する時、以下のように書ける。
…
はで正則だから、最初の積分はwell-definedであり、曲線に依らず、それゆえ、もまたそうである。
最初の積分を取るとだから、両辺に絶対値を付けて
よってはでの函数としてwell-definedである。
が正則函数の積分により与えられることから、はで正則である。従って、2つ目の積分はwell-definedであり、もにおいてwell-definedかつ正則である。とを繋ぐ線分に沿って積分すると、
このようにしてで、、、… を次々と定義することができる。
実際、上の事実から簡単にわかるようにがでwell-definedかつ正則と仮定するととなりもでwell-definedである。よって、函数 はで正則かつ。
とを繋ぐ線分に沿った積分を取ることと、微分方程式メモ (1)と同様の計算により、正則函数列のでの一様収束性と、、を満たす極限函数が示せる。更に、正則函数列の一様極限もまた正則である。
解の一意性は実数値函数の時と同様に証明される。